あの素晴らしい愛を・・・スィートメモリーズ
(超短編小説 BGMを聞きながらイマジン)
それは50年ほど前のことです。
福岡は宗像にある四塚高校の落ちこぼれ男の恋のことです。
この男 特に取柄もなく「俺は頭も、運動神経も、なぁもないと」
「なぁもないと」が口癖 そこで「ナイト」というあだ名がついた。
この男 クラスの「マドンナ」に入学当初から一目惚れし 6月には告白した。
マドンナとは 癒し系美人 バスケ部
マドンナ 「ごめんね 私 殿 好いとうと」 「 友だちなら よかよ」って一蹴
殿とは 文武両道いつも両手に花の色男 「よきに はからえ」って感じ
殿狙いの花は たくさんいるが 右代表は姫 クラス委員
姫とは 才色兼備 古風な色白美人 「殿方は うんぬん・・」って感じ
さてさて 夏も過ぎたころ 殿 姫 マドンナの見事な三角関係ができた。
(BGM 明日に架ける橋)
とある日 マドンナが窓際に立って 髪をなびかせ 外をボーと見ていた。
ナイト なんしょうと/ マドンナ ううん/
ナイト なんか 疲れとうごたぁーねー/ マドンナ はぁー/ とため息
今日は部活ないっちゃろ/ うん/ 帰るばい/ うん
素晴らしい夕焼けで 宅地造成された丘陵地を 小高い丘にある給水塔に
向かって歩いた。
なーもしゃべらんでよかよ あっ!そうたい 今日クッキーありがと/
あぁーあれね家庭の時間で作ったと おすそ分け/ 俺にも?/
ナイトは私の友達でしょ/ 何かよくわからん 殿は?/
もちろん でも殿はね~ 歯にくっつくのは苦手みたい/ふ~ん
たわいもない話しながら ふと思った
(友達?友達やったっけ 女心はよくわからん でもなんだかそばにいたい)
腕時計をみて あっ ちょっと急ぐ 電車が一時間に一本しかないちゃっもん/
二人は夕陽に向かって小走り マドンナの家の近くで じゃあな/ありがとうバイバイ
(マドンナが バイバイ って言うの かわいっちゃん)
話は変わりるが ナイトのテストはいつも平均点の三分の二の赤点ぎりぎり
今回も通知表にはクラスで43/45番だ 一番もおれば どべもおらないけん
と勝手に解釈し 気晴らしに免許取り立てで バイクを乗り回した
(親に申し訳ないバカちん息子 親不孝時代)
とある日 マドンナ バイクの免許取ったと/ あぁ ようやくバイク通学たい
気持ちよかばい/ 良かねー/ と言ってるが なんか元気がない
また姫にやられたと(殿は)向こうにちょこっと傾いてしもたっちゃろ/ う~ん/
よーし マドンナ応援隊としては 気持ちから盛り上げなぁいけんね/ 応援隊?/
今度休みに バイクのケツに乗しちゃろか どげんね?/ バイクのケツに乗る/
んなら また電話してくさ 向かいにくるけん 待っとき/
当日は いい天気 (BGM シェリーに口づけ)
マドンナをケツに乗せて バイクを少しスラロームさせながら 恋の浦へ
途中で遇うバイクには ピース ピースとVサイン マドンナも慣れてピース
到ちゃ~く 二人は岩場に座ってと思ったら 私 走りたか~/ はぁ?
(女心はわからん)わかった 走りたいっちゃね/ 白石浜へ
到ちゃ~く 白い砂浜に出ると 誰もいない マドンナ生き生きとしてる
(まさか 南沙織 17才って感じ やらんめ~ね~ やるっちゃろか?)
いくよ/ はぁ?/ マドンナは走りだした (やっぱ~ も~ なんかいな)
マドンナの足は速い 運動不足のナイトは追いつかない
(それでも なんか 気持ちよか~って 俺はマドンナの気晴らし君でよかたい)
(バイクのケツに乗せると 好きなマドンナに バックハグしてもろうとうと
って感じで それでよか 上等 )
話は変わるが 朝の目覚ましは タイマー時計とラジカセつないで 曲はデイドリーム
ビリーバー おっと 今日はまた マドンナとデート?(相手は 気晴らし)
早よせな 間に合わん おふくろが どこい行きようとね/ の声を後に
香椎花園に到ちゃ~く ちょこっと 子どもっぽいとこい してしもうた
(BGM 愛するハーモニー)
あっ きれい/ あ~ 凄か~ 花壇の花々 花のトンネル どれも癒されるとです
ジェットコースターに 危ない観覧車 ちょっと疲れて 売店のベンチで瓶コーラ
なぜかマドンナ 乾杯って感じで カチン 歩き回って そろそろ帰るか
その帰り道 バイクのサイドミラーに映ったのは (BGM ハイウェイ・スター)
マズいのが来よう/ ナイト なに⁉/ ピース ピースして/ わかった/
やり過ごすよ/ 奴らは 中指を立てて 比較的おとなしく過ぎ去ったのはいいが
その後 パトカーと白バイが 白バイに停止させられ おい!免許証と保険証/
泉谷じゃないけど おい! と呼ばれてムカっときたとです さっきの仲間でない
ことがわかると 気を付けて行けよ/ って それだけかよ (泉谷→黒いカバン)
夢のような出来事 それは突然に・・・・
とある日 いつものように 4人 殿 姫 マドンナ なぜか俺(バランサー?)
放課後 あーでもない こーでもない とダベって なぜか どうでもいいことは
マドンナと気が合う 殿 さぁ 帰ろうぜ/ 4人は校舎を出たとき 俺は忘れ物に
気がついた あっ 俺 忘れもんした じゃ ここで/ 殿 おっ/ 姫 明日ね/
マドンナ バイバイ/ 3人は 校門に向かって歩いていると 突然マドンナが
あれっ あれっ/って マドンナの目から 大粒の涙が 殿も姫も 一寸驚いたが
すぐニコニコして 殿 行きなよ/ 姫 も~らい/ と 殿と腕を組んだ
マドンナ うん/ (BGM あの素晴らしい愛をもう一度)
♡ナイトが じゃ ここで/って 言ったとき 胸の中を 風がスーっと通った
なぜか 独りぼっちの感じ 殿も姫もいるのに 心の中で ナイトって 呟くと
風は止まり 今度は熱いものが こみあげてくる やがて大粒の涙となって
溢れだした♡
ナイト知らない?/ さぁー/ ナイト知らない?/ バイク置き場じゃね/
♡ナイトを探してるあいだ中 ナイトとのことが頭の中で走馬燈のように走った ♡
あっ いた! バイク仲間と話している ナイト!!/ バイク仲間 いよ~マドンナ/
私がナイトの方に視線を向けていると バイク仲間 じゃ 先に帰る/
ナイト おいおい なんしようとね 取られてしまうが/ うん/ うんて?/
いつものことだと思い そげな顔して ま~よかたい/
話を聞こうと バイクのスタンドを立てた と突然マドンナが バックハグ
心臓 ドキドキ早鳴り 足はがくがく 頭の中 真っ白 息もできない
一寸して 深呼吸 (言葉が出てこない ただ 守ってあげたい)そして
な~も言わんでよかよ バイクのケツに乗る/ といつもの言葉
バイクのケツに乗る あっ(制服で)スカート/ よかよか 横乗りしとき
ゆっくり走るけん/ マドンナをケツに乗せゆっくりと走らせた
さっきね ナイトの心臓の音が聞こえたとよ/ 俺は息ができんかった/ 私も/
空はあの時と同じ 夕焼けだった
出会いもあれば 別れもある・・・・
ナイト 何? 話があると?/ 今年はオリンピックがあったからうるう年
うるう年って366日だよね/ そうね どうしてうるう年に五輪なのかな?
そんなことはどうでもよかと 話って/ あ~ あのくさ 俺たち そろそろ/
別れってこと/ 国立目指しよっちゃろ 俺も私立目指してくさ 頑張ってみようと
思いよったい 俺 不器用やもん 二刀流は難しか 全然会わんということないけん/
わっかた・・・・/ お互い見つめあってウルウル・・・
時はながれて・・・・・50年
ピンポーン (BGM SWEET MEMORIES 松田聖子)
さっき電話した ナイトです/ ナイト!/ 玄関のドアが静かに開いた
そこには 昔の面影 そのままの 女性がいた あっ マドンナ 久しぶり/
ナイト 久しぶり/ 全然変わらないね なんかドキドキする とは言え
私はすっかり じぃーじ だからね/ わたしもよ ばぁーば そして バツイチ/
ちょっと 外に出ない 車 助手席にのる/ 助手席に乗る/
天気は上上 車はゆっくりと 走り出した